(54)太陽光発電と日照権

■ マンションが・・・

知人宅の近所の工場が取り壊され、3年ほど手つかずの状態でした。そんなある日、そこにマンションが建つとの噂が・・・。

知人は太陽光発電システムを昨年設置したばかり。マンション建設予定地は、知人宅から15メートルほど南にあります。

ということは、室内に日差しが入りにくくなるだけでなく、発電量も減ることも考えられます。

「知っていたら新築も設置もしなかったのに・・・」と悔しがる知人。

聞く所によると、こんな事例は多いんですね。
 

■ 用途地域

適正な土地利用を図るために、それぞれの土地は用途分けされています。その中で、私たちの住宅を建てられるのは、

第1種低層住宅専用地域、第2種低層住宅専用地域だけでなく、商業地域や工業地域にも及びます。

「商業地域の近くなら、買い物が便利よね」と安易に考えてはいけません。

なぜなら、その地域によって、『建物の建ぺい率』『容積率』『高さ制限』が大きく違うからです。

建てる地域によっては、あなたの家の中に全く日差しが入らなくなっても何の文句も言えない場合もあるのです。
 

■ 建築差し止めは難しい

前述の知人のような状態になったら、誰だって不愉快に感じますよね。場合によっては訴訟を考えるかもしれません。

しかし、現状では不法行為とはいえないため、泣き寝入りをするか、損害賠償で歩み寄るか、といった解決になります。建築差し止めを要求しても、難しい場合が多いとか。

太陽光発電システムを設置するには、いくら補助金があるといっても、多額の自己負担が必要です。

契約前の見積もりで、「○年で費用を回収できるのなら、子どもたちのために良い環境を残す手伝いをしよう」と、設置に踏み切った人もいるはず。

そんな人は、現状の解決策には到底納得がいかないでしょう。

ですから、あなたが太陽光発電システムを設置する時は、太陽光を遮る場所にマンションやアパート、店舗など、背が高い建物ができる予定がないかを確認してみましょう。

日照権といえば、以前は家族の心身の健康を守るためのものでした。でも最近では、太陽熱や太陽光発電での利益を守るためにも大切になりました。

こんなトラブルは増える傾向にありますから、担当部署の方には早く法整備をして、私たち消費者を安心させてほしいものですね。

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