(4)家づくりの目的が変わってきていませんか?

最近の住宅会社の広告を見ていると、建物の性能に焦点を合わせた家づくりを強調するものが増えたように感じます。

電力不足が心配される今、これは仕方のないことなのでしょう。

ただ、家づくりの目的や、家の役割があやふやなまま家を建てて、住み始めてから後悔する人が出てくるのでは、と気になります。

ところで家づくり経験者が、家を建てたきっかけって何だと思いますか?

いくつかの調査によると
■ 住む人の変化・・・結婚、出産、家族の成長など
■ 住んでいる家への不満・・・広さ、老朽化、耐震性、耐火性、場所など
■ 暮らし方の変化・・・親世帯との同居や別居、定年退職、転勤、転職など

がほとんどでした。

このようなきっかけをもとに、「今よりもっと家族が幸せに暮らせる家を建てたい!」と、家づくりの勉強を始め、少しずつ前進していくのです。

住宅会社も、そんな家族の変化に合わせて
■ 子育て世代に優しい家
■ 家族の家事負担を減らす家

など、家族を主人公にした家づくりを提案していました。

ですが、最近は
■ 省エネ・高断熱・高気密の家
■ 創電・蓄電できる家
■ エネルギーの管理ができる家

と、家の機能・性能が重要視され、家づくりの目的を「今よりエネルギーを効率よく使うために」と強調するものが増えてきました。

確かに電力の問題は大切です。でも、「だから、性能を優先した家づくりでないといけない」というのは、必ずしも正しいとは言い切れないと思います。

日本の各地では、それぞれの気候に合わせた家づくりをすることで、季節の変化に対応していました。

気温・日差し・風の強さ・・・

それぞれの地域には、いろんな特徴がありますからね。

そもそも、電力が豊富ではなかった時代は、電力を消費しない家づくりができていたんです。

ただ、家族の暮らし方の変化により、電力消費量が高まっただけなんです。
■ 家族のそれぞれが個室を与えられている
■ テレビ・パソコン・携帯ゲームが普及し、個人で過ごす楽しみが増えた
■ 好きな時間に入浴するので、そのたびに追い焚きしている
■ 目隠しのためにカーテンを閉めっぱなしなので、照明が欠かせない

などなど。

コミュニケーションが少ないと、『家族』はやがて『同居人』になります。

お互いを知る機会が少ないと、心は少しずつ離れていきます。

それに、いくら性能の優れた家を建てても、家族がそれぞれの場所で過ごしたら、それなりに電力を消費します。

ですから、家族が自然に集まるような空間について、考えてみてください。

美術館や喫茶店など、家族が気に入っている場所があるのなら、その空間にどんな工夫がされているのかを考えてみるのもいいですね。

例えば、壁の色や素材を替えただけでも、何となく居心地が悪くなることもあれば、ゆったりとリラックスすることもあります。

広い空間にいると落ち着かず、ちょっと狭い空間の方が快適、という人もいます。

そんな家族の気持ちは、家族が一番知っています。

業者にそこまで理解を求めるのは、なかなか難しいでしょう。

毎月の電気代を減らすために新築しようとしていませんか?

家族がバラバラに過ごしたら、高性能の家を建てても、逆に電気代は増えるかもしれないことに気づいていますか?

家の性能は、もちろん大切です。

でも、『家族』でなく『建物』に焦点を合わせた家づくりをすると、住み始めてから「あっ!」と言うかもしれませんよ。

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