(15)好きな食べ物は『家や家具』。ヒラタキクイムシ

2年前に某ハウスメーカーで新築した知人が先日、自宅の階段の隅で、きな粉の小さな山を発見しました。

耳かき2杯分くらいの量です。

「子どもがお菓子を落としたのかな?」と、掃除機で吸い取ったそうですが、翌日には同じ場所に同じような山が・・・。

「これは絶対におかしい」と、じっくり見たところ、壁に小さな穴を3か所発見。

画びょうで開けた穴より、少し小さめです。そして、きな粉に見えたのは、細かい木屑でした。

調べたところ、原因はヒラタキクイムシのようです。

今年はゴキブリが出ず、害虫から解放されたと喜んでいた彼女ですが、早くも次の試練がやってきました・・・。(´;ω;`)

「 好きな食べ物は『家や家具』。ヒラタキクイムシ 」    


■ ヒラタキクイムシの生態

成虫の体長は、4?8ミリ程度で、細長くて扁平です。成虫の寿命は1?4週間程度です。

彼らは、毎年4?8月になると、卵の頃から住み続けた木材を出て、直径1ミリ以下、奥行き5ミリ前後の小さな導管(穴)に産卵します。

産卵するのに適した木材は、新築して数年程度の、水分(5?30%程度)やデンプンが程よく含まれているものです。

なぜなら、それらは幼虫が成長するために必要な栄養素だからです。

孵化した幼虫は、10か月ほどかけて成虫に育ちます。ただ、気温や木材の栄養分によって、生育が早くなったり遅くなったりします。

冬の寒い時期、幼虫は冬眠状態になるのですが、室内が常に暖かいと、冬眠せずに木材の内部を食べながら成長を続けます。

■ あなたが被害に気付いた時には・・・

幼虫は、木材から抜け出さないまま成長します。そして、成虫になる前の頃に木材の表面に穴を開け、木屑や虫糞を穴の外にまとめて出します。

知人と同様、ほとんどの人が、この時に気付きます。

「うわっ、大変!」と、慌てて薬剤を注入するのですが、時すでに遅し。

他の場所に移動し、産卵していることが多いとか。

ですから、完全に駆除することは難しく、翌年も別の場所で同じような穴と木屑を見かけることになるのです。


■ あなたに優しい環境は、害虫にも優しい・・・

被害が爆発的に増えたのは、昭和30年前後、輸入材が一気に増えた頃。

シロアリより軽視されがちな害虫ですが、学校の床が抜けた事例もあります。

最近は、シックハウス対策として、人体への被害が少ない建材が普及していますよね。それも、被害が増えた原因の一つだと言われています。

また、以前は関東から九州でしか見られなかったのですが、最近は関東以北でも見られるようになりました。

温暖化と断熱性の進化が、害虫に適した環境を広げたのでしょう。

ただ、ヒラタキクイムシはシロアリより生命力が弱く、小まめな駆除を続けることで解決できるケースが多いのが特徴です。

掃除をする時、押し入れや家具の裏まで目を凝らし、小さな穴がないか、不審な木屑が無いか、観察してくださいね。


■ 羽はあるけど飛距離はわずか

ヒラタキクイムシは、夜になると室内を飛び回ります。でも飛距離はわずかで、外から室内に侵入して産卵する、というのは、彼らにとって難しいことなんです。

ですから、もしあなたの家で見かけたら、新築する時や家具をつくる時、その木材にすでに産卵されていた、と考えられます。

瑕疵担保責任という制度がありますが、認められないケースが多いのが現実だとか。

ですから、業者を契約を交わす前に、
?どんな建材を使っているのか
?害虫が発生した事例が無いのか
?万が一、害虫が発生した時の対応は?

といったことを確認しておくといいですね。素人より知識がない業者もいれば、親身に対応する業者もあります。

「そんな被害はありません。そんな害虫の名前は聞いたこともありません」という業者は問題外ですね。
 

■ 被害を受けやすい木材と受けにくい木材

ヒラタキクイムシの被害を受けやすい木材は、ワラン・ケヤキ・ナラなどの広葉樹です。逆に、被害を受けにくいのはヒノキ、マツ、スギなどの針葉樹です。

合板の被害は、とても多いんですよ。もしあなたが「自然素材を使って家を建てたいな?」と考えているのなら、害虫対策も兼ねて、針葉樹を検討してみては?

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