10、新築住宅の基礎工事

新築住宅の基礎工事(1~3)についてです。

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基礎工事1

建物の基礎部分に捨てコンクリート打設後、鉄筋を組みたてます。

捨てコンクリートは字のごとく、捨てるコンクリートのことです。捨てると言っても何処かに取り除いて捨てる訳ではありません。

基礎部分の下には基礎栗石が敷き詰められています。しかし、石の上では鉄筋作業が施工しにくく、また型枠工事も施工しづらいため捨てコンクリートを打設します。

コンクリートは圧縮力には強いのですが引っ張る力には弱く、鉄筋はその反対で引っ張る力には強いです。お互いの性質をプラスしあい、鉄筋コンクリート構造物は強さを増しています。
ところで、基礎が鉄筋コンクリート造であることはよく知られていますが、その鉄筋に規格があることはあまり知られていません。

住宅の基礎にはJIS規格の鉄筋が使われます。図面には太さに応じて、D13、D10と表示されています。

でも、基礎工事の単価を切り詰められている土木業者は本当にたくさんいます。
彼らが、何をするかというと、ノンJISといって、JIS規格ではない鉄筋を使用するのです。

理由は単純、安く手に入るからです。
ブロック塀などで使われたりしているもので、見た目にはほとんど変わらないので、(実際は若干細いように見える)あなたが見分けるのはほぼ不可能でしょう。

知らずに使っている職人さんもいるくらいですから。
さらに、元請の建築業者の監督や、検査員でも知らない人がいる場合もあります。
要は、業界として黙認しているところもあるのかもしれません。
直ちに欠陥が現れることはないでしょうが、要は、規範意識の問題かもしれません。

木造住宅の技術基準は、旧住宅金融公庫が定めた「木造住宅工事仕様書」が実質の業界標準になっているように思います。
この基準を守らなくても法律違反ではないことが、問題を潜在化させている要因でもあるかもしれませんね。

食品でいえば、残留農薬の量を業界の自主基準で定めているようなものかもしれません。近年、とても問題になっていますよね。

基礎がしっかりしているかどうかは、永く住めるかどうかを決める重要な要素の1つです。また、目に見えなくなる部分ですので不具合等が発見しにくい場所でもあります。
住宅基礎の内部の鉄筋は施工によっては弱点が発生してしまう事があります。できれば現場に足を運んで、思わぬ不具合がないか、自分の目でチェックしてください。

・ 鉄筋どうしのつなぎ目とコーナー部分。
・ コンクリートが行き渡りにくい水道やガスなどの配管周り。
・ 今後の床下のメンテナンスのために作られる、基礎の中の人通口の部分。

これらの部分に適切な補強がされているかがポイントです。
「JIS規格が使われているか」よりも、「知っているか」どうかで業者の技術レベルがわかるように思います。

基礎工事2

基礎工事で使うコンクリートについて。
セメント・水・砂・砂利が主原料で、これらを適切な配合で練ったものがコンクリートです。
割合が違っていても、どれも同じように固まりますが、配合や施工により固まってからの強度に差が出るんです。

では、納入伝票に記載されている生コン(レディーミクストコンクリート)を見てみましょう。生コンの強度を表す「呼び強度」は○○N/mm2・どれくらいですか?
基礎コンクリートの強度の目安を設定するとしたら、21~24N/mm2くらいが適切になるようです。
現場作業員人は、できるだけ柔らかい流動性の高い生コンを好みます。楽ですから。

流動性の高さにはスランプ値という基準があるのですが、同じ強度でも、スランプ値(流動性)が高い生コンは、価格も高いのです。
たまにですが、スランプ値の低い固めの生コンに、水を足して柔らかくしている風景を見ることがあります。

生コン屋が「薄めよか?」なんて平気で言ったりする場合もあります。ちなみに、コンクリートの水分量(水セメント比)は、本来、厳重に管理されていて、流動性を高めるのに水を入れるなんてのは、基本的に論外となります。
直接、強度・耐久性に影響するからです。
一時話題になった「欠陥住宅」は業者が悪意であることが問題でした。

マスコミの偏った報道もあり、これから家を建てようとしている人を、必要以上に不安にしました。

あのような事例は、そうあるものじゃないですが、今後は建築業界に係わるものの知識レベルの低さが露呈していくかもしれません。

ほとんどの問題は、悪意ではなく「無知」からきているように感じます。

コンクリートは、施工後の養成も重要です。

猛暑や豪雨、凍結などで不具合がでないよう、日照や温度、天候などによって、シートや保湿マットを被せたり水を張ったりしなければなりません。

ですがコンクリート関連工事については、不注意な工事が行われ、管理不足から、クラック(ひび)等が発生している場合もあると思います。

素人には、自己収縮や乾燥収縮などの、ある程度は仕方のないクラックと、施工不良・施工ミスが原因で基礎の強度が低下する可能性がある構造クラックとの区別がつきません。
理論武装するだけでは、まず不可能かなと思います。
モラルや法令順守、そしてあなたの「家」に対して、全責任を負える人と話すことが大切かと思います。

基礎工事3

基礎工事の現場チェックは大変です。

日々その姿が変化していくので、毎日足を運ばないとすべては確認できないからです。それに、次の2つの工程は、そもそも省略されることもありますので、なぜそうしたかの理由付けが、業者選びの判断基準になるかもしれません。
特に早く隠れてしまうのは、割栗地業です。

地業とは、地面をならし固めることの総称で、割栗とは、岩を砕いたような10cm程度の石のことです。
それを並べた後に、砕石(砂利)で目つぶしして固めていくのですが、材料とともに、施工手間がかかります。

1工程余分に増えるので、業者によりますが嫌う場合も多いですね。

仕様書には、「地盤が比較的良好な場合は省略できる」と、これまたあいまいな表現なので、省略されている現場もあると聞いた事があります。
次に、コンクリートを打ち込むまでに、防湿フィルムが敷かれているか確認してください。
透明のシート状のもので、地中からの湿気を防ぐ目的で施工します。

敷いている現場を見ればわかるのですが、想像以上に地中の水分で結露しているはずです。

これが、土間コンクリート経由で床下に入り込むことで、木材の腐朽やシロアリの発生原因になることも。
基礎で特に注意すべきポイントは、

・ 鉄筋がしっかり入っている事
・ 出来たコンクリートが木土台の下全体を支えるようにまっすぐ作ってあること (コンクリートが妙に変形していないこと)

きれいな基礎、丁寧な仕事を確認すれば、ほとんどの場合性能的には問題ないようです。

逆に作りが雑な場合には注意が必要かもしれません。

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