(311)新築住宅、精神的なバリアフリー

戦後、アメリカ式の「プライバシー重視」という考え方の影響を受け、住宅にも変化が出現

戦後、アメリカ式の「プライバシー重視」という考え方が、いろんな場面で盛んに言われるようになりました。
その影響を受け、住まいにも変化が現れ始め、今では家族が個々に部屋を持つのが当たり前の時代になってきました。

子供部屋、書斎、家事室など、いろんな呼び方がありますが、全て個人のための空間です。
その結果、もたらされてしまったもの・・・。それは、家族間のコミュニケーションの減少です。

新築住宅で「バリアフリー」という言葉がありますよね。

一般的にその言葉が意図しているのは、段差とか仕切りとか、いわゆる物理的なものについてです。
ですが、今回は精神的なバリアについて触れたいと思います。

家の中に壁があると、そこでコミニュケーションは遮断されてしまいます。つまり、物理的に壁であるだけでなく、それは心の壁にもなってしまうわけです。

せっかく家族と一緒に暮らせるのですから、コミュニケーションをとりながら、楽しく生活したいですよね。
そのためには、壁があるよりは無いほうがいい。
そうしたら、そこには自然と会話が生まれるはずです。

新築住宅では、精神的バリアフリーの空間を設計する

しかし、そこで忘れてはならないのが、プライバシーの問題です。
家族それぞれのプライバシーを尊重しつつ、お互い、気軽にコミュニケーションを図れるような、精神的バリアフリーの空間を設計すること。

間取りを考える場合には、プライバシーとコミュニケーション両者の観点からの考慮が必要です。
プライバシーを尊重しすぎれば寂しい空間になり、コミュニケーションを重視しすぎれば気ぜわしい空間になり・・・。

それぞれの家族によっても答えは違いますから、「間取り」はなかなか難しい問題ですね。